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“対メーカー” は消費者敵視の隠れ蓑 [デジタル]

「ダビング10」 がようやく決定したそうです。これで少し便利になる・・・という人もいるでしょう。一方、活用スタイル的にメリットがない人にとってはタイミング上、「Blu-ray補償金」 というコストをただ負担させられるだけ、という形になりそうです。

今回の件については妥協が成立しましたが、著作権者と電機メーカーの対立の歴史は今に始まったことではありません。でも、それは本当に “権利者 vs メーカー” なんでしょうか?
 
権利者団体(著作権者側)は最近は、メーカー側、特に JEITA という団体を 「不信感」 という言葉で敵対視しています。補償金問題の一連の対立でも、「メーカーは自己の利益に固執して補償金の枠組みから逃れようとしている」 という考えを根っこに持った上で主張を展開しているようです。

そうはいっても “自己の利益”って・・・それは当たり前でしょう? 社会に貢献したら対価が貰えます。自分たちが商品作って、売って、儲ける。消費者が欲しいと思う、消費者に買ってもらえる商品を開発して、メーカーはそれで商売を成り立たせているのです。理屈のあいまいな支出の大小で批判される謂れはありません。

一方、権利者たちは自己の利益のために何をしているでしょうか? 消費者(リスナーや視聴者)に気持ちよく楽しんでもらえるような商売をしていますか? 実はお客に対してあれこれ注文をつけながら商売していませんか? 昔の “小樽の寿司屋” みたいな状態になってませんか?

「補償金制度」 というのはとても便利なシステムです。なぜなら、1枚もCDが売れなくたって、レコーダーが売れてくれれば収入が得られるのですから。自分たちの本業の努力とは無関係に、誰かが、何かの目的でレコーダーや記録メディアを買ってくれさえすれば、一定の割合で収入が入ってくるのです。

これは美味しい。確かに手放したくないだろうし、あわよくば全ての “記録機器” に、と考えたくもなるでしょう。“自己の利益” のためには、他所の商売からさえも分け前をもらう。貪欲です。社会に貢献しているからなのでしょう。

この調子で将来的には、たとえば衣装の繊維メーカー、スチールカメラマン、楽器、電力会社、製紙会社、運輸、通信、弁当屋・・・etc、「我々のおかげで君達は利益を得ているから」 と、あらゆる商売に補償金を要求してくることでしょう。

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ところで、「レコーダー」 や 「記録メディア」 というものは、消費者と権利者との間において、どの立ち位置に在るものなのでしょう。
その認識はおそらく消費者と、権利者とでは違うことでしょう。
ざっくり図にしちゃうと:


◎消費者の認識

 著作物(CD)
  |
 (購入)
  ↓
 消費者
  |
 (活用)
  ↓
 レコーダー


◎権利者の認識

   著作物(CD)
  |    |
 (許可)  (許可)
  ↓    ↓
 消費者 ⇔レコーダー


消費者にとってはレコーダーは自分より下流にある物であって、「購入したコンテンツを 楽しむための器(うつわ)」 にすぎないのに対して、権利者側の認識は、レコーダーや記録メディアは(権利者から見て)消費者と同じ位置、あるいは上流に位置していて、「機器やメディア、複製の数だけ “CDが売れた” ことになっていなければならない」 と考えているようです。でも、それではまるでメーカーがCDを買っているようなものです。
(「放送の録画」のケースではこれとはまた違う構図になりますが)

重要なのは、コンテンツの楽しみ方を 決めるのは消費者 だということです。メーカーは新しいハードという “手段” を提示こそしますが、それを選んで、買って、どう活用するのかは消費者の判断です。

一連の対立の構図は、本当は “権利者 vs 消費者” でしょう。

権利者側が表立って消費者を敵に回すことが出来ないが為に、メーカーを引っ張り出して強硬な要求をし続けているように思えてなりません。一部メーカーの中にはコンテンツ事業者を背負っているところもありますし、マスメディアすら著作権者である以上メーカーはあまり強硬な態度がとれない。コピー問題はアナログ時代からあったわけですから、権利者側の “口実” になる材料は増えるばかりです。

いわば身代わりになって(消費者が求めてもいない)様々な制限や支出を受け入れてきたメーカーですが、実際その影響は、活用の息苦しさという形で消費者に直に及んでしまっています。補償金も、メーカーの利益を圧迫するわけですからそれは最終的には製品単独、あるいは家電全般のコストへと 必ず 跳ね返ります。その分を負担させられるのは結局は消費者です。

そして、消費者はそれを知っています。

補償金、コピーワンス・・・、古くはCCCDの問題も然り、消費者の不満の矛先が権利者側に向くのは、至極当然でしょう。
 
 


 

 

 

 

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